1975年の開院以来、質の高い専門医療の実施、様々な透析合併症への対応を中心に取り組んでいます。透析が必要となった患者さんには血液透析だけでなく、ご自宅で行っていただける腹膜透析についても十分な説明を行い、透析療法の選択していただきます。
腹膜透析で透析導入すると透析導入後も残腎機能を保持しやすく、時間をかけてゆっくり透析が行えるので体や心臓への負担が少ないといわれています。 血液透析で透析導入するよりも生命予後が良いとも言われています。
腹膜透析は月1-2回の通院で透析導入後も生活リズムを大きく変えずに済むため、QOL改善にもつながります。 このため井上病院では腹膜透析で透析導入すること(PDファースト)を推進しています。
血液透析では長時間透析を推進しています。
血液透析は最低4時間以上の透析が必要と言われていますが、当院では5時間、6時間の透析にも積極的に対応しています。
また長時間・頻回透析が可能な在宅血液透析や8時間の透析時間が可能なオーバーナイト透析にも対応しております。
介護施設に隣接した透析施設(井上診療所)を利用した老健透析も可能です。
また腹膜透析ではCAPDだけでなく、寝ている間に機械を使って自動的に透析液を交換するAPDという方法や週1回の血液透析との併用療法を行うHybrid療法、通院困難な高齢者の腹膜透析患者さんに訪問診療・訪問看護でサポートする腹膜透析にも対応しております。
近年は透析患者さんの高齢化や糖尿病の増加にともない体力の落ちた患者さんが増え、透析患者さんの感染症が大きな問題となってきています。
そこで我々は徹底した感染症対策だけでなく、栄養・運動療法での積極的な介入を行うことで免疫力を向上させ、透析患者さんにいつまでも元気に生活していただける取り組みを進めています。
災害時はお電話が繋がりにくいので、ホームページの掲示板で病院の状況をリアルタイムにお知らせできるようにしております。また透析中に地震や火災などが生じた場合に、透析の緊急離脱がすみやかに行える透析針を使用しています。万が一災害が生じた場合を想定し、定期的に防災訓練も行っています。
血液透析について
血液透析は血液を体外に導き出し、ダイアライザと呼ばれる特殊フィルターの中で血液中の毒素や水分を除去し、きれいになった血液を体内に返す治療です。
透析の質
透析の質は ダイアライザに血液を送る「血流量」とダイアライザの「膜素材と面積」「透析時間」によって左右されます。当院ではテーラーメイドでこれらの条件を調整し、より良い透析が提供できるよう取り組んでいます。当院では血液透析では週3回最低4時間の透析を標準透析とし、5時間、6時間の透析にも積極的に対応しています。
夜間透析とオーバーナイト透析
就労・就学などの社会復帰を支援するための23時までの夜間透析を行っています。夜間でも最長5時間の透析が可能となっています。
夜間の睡眠時間を利用したオーバーナイト透析をはじめました(2018年9月~)。仕事や学業をフルタイムで行いながら8時間の長時間透析を行うことができる治療法です。
在宅血液透析(HHD)
自宅に設置した透析関連機器類を医師の管理の元、自己管理と自己責任で患者自らが操作する在宅血液透析(Home Hemodialysis:HHD)をサポートしています。
在宅血液透析は施設透析では実施困難な頻回透析も容易に行うことが可能です。頻回透析は透析と透析の間隔が短く、透析による体重変動が少ないため、体にやさしい透析を行うことが可能となります。
オンラインHDF
補液に透析液を使用し、血液透析に濾過を同時に行う治療をオンラインHDFといいます。
オンラインHDFでは、血液透析では除去しにくい低中分子蛋白物質を取り除くことができます。関節痛、かゆみ、不眠、イライラ感、むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)、透析アミロイドーシスの軽減に効果があると言われています。また補液プログラムを工夫することで透析中の血圧低下にも効果がみられることもあります。当院には90台のオンラインHDF対応機があります(2019年3月末)。
腹膜透析について
腹膜透析(PD)は腹膜を透析膜として利用する透析です。腹膜透析は在宅での透析治療であり、外来通院も月1-2回であり、生活リズムを大きく変えずに治療することができます。社会復帰に適した治療であると言えます。
腹膜透析にはバック交換の時間以外は透析液を24時間おなかに貯留して持続的にゆっくりと透析するCAPDと寝ている間に機械を使って自動的に透析液を交換するAPDという方法があります。
高齢者にも優しい腹膜透析
腹膜透析は心臓への負担や血圧の変動が少なく、高齢者に適していいます。また血液透析では週3回の通院を家人がサポートしなければならないのに対し、腹膜透析は月1-2回の通院で良いといったメリットもあります。
通院が困難な場合には訪問看護や訪問診療による在宅での腹膜透析のサポートも行っています。基本的には患者さんもしくは家人で行う透析ではありますが、透析液交換の操作が不安な場合などは訪問看護師によるサポートも行っています。
血液透析とのハイブリッド療法について
腹膜透析治療だけでは透析量や水分の除去が充分でなくなった場合は、血液透析(HD)併用療法を行うハイブリッド療法を行う事があります。ハイブリッド療法の利点は透析不足の解消だけでなく、腹腔内の透析液貯留が無い日ができ腹膜の機能保護にもつながるとも言われています。併用療法では週1回の血液透析が一般的です。
井上病院は北摂地区で関連の在宅医療、老人保健施設、訪問看護ステーションなどと連携した総合ヘルスケアを展開してきました。これからはさらに、地域住民の皆さまが体調をくずされた時や病気でお困りの時に気軽にいつでも利用して頂ける、大学病院や市民病院などの基幹病院との橋渡し的な身近な病院を目指していきます。
井上病院では内科や整形外科、泌尿器科といった16の多岐にわたる診療科がございます。
日常生活の中で体のどこかに痛みを感じた時、体調をくずされた時なども地域の皆さまにご受診していただけます。またCT、MRIをはじめとする検査機器も充実しており、健康診断で指摘項目があった方の二次検診にもご利用いただいています。
地域開業医の先生方からの診療紹介、入院紹介、検査紹介も随時受け付けております。
診療科
内科・総合内科・循環器内科・腎臓内科・糖尿病内科・透析内科・消化器内科・外科・
心臓血管外科・形成外科・整形外科・リウマチ科・泌尿器科・眼科・リハビリテーション科・
放射線科・麻酔科
一般病棟では症状が安定すると早期に退院していただく必要がありますが、地域包括ケア病棟では在宅や介護施設での療養に不安がある患者さまにもう少し入院していただき、在宅復帰に向けた治療・リハビリを受けていただくことが可能です。
また病棟専任の医療ソーシャルワーカーが患者様の退院支援、退院後のケアについてもサポートさせていただきます。
またこの病棟では介護施設や在宅で療養されている方の緊急時の受け入れや、介護者の日々の疲れ、冠婚葬祭、旅行などの事情により、一時的に在宅介護が困難となる場合に期間を設けた入院の受け入れを行い、介護者の負担軽減(息抜き)を目指すレスパイト入院の受け入れもしております。
「誤嚥(ごえん)性肺炎」は高齢者によく起こる肺炎で、食道を通って胃に入るべき食べ物、唾、痰などの一部が気管に入り込んで、その時に雑菌が肺に入ってしまうことで起こる肺炎です。
誤嚥性肺炎は脳梗塞や脳出血などで脳の機能が低下すると、異物が気道に入っても咳によって排除する働きも低下します。また口の中は雑菌が繁殖しやすいので、常に清潔にしておくことが大切です。
当院では誤嚥性肺炎に対する多職種連携のプロジェクトチームで再発防止に取り組んでいます。
また黒松歯科の先生と連携し口腔ケアにも積極的に取り組んでいます。
糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病の予防と早期治療に取り組んでいます。
また糖尿病治療に関しては専門医を中心に、服薬治療だけでなく栄養指導・運動指導も積極的に行い、患者さんの体質改善に患者さんとともに取り組んでいます。
とくに糖尿病が原因で腎機能が低下している患者さんに対しては透析にならないような治療や指導を積極的に行っています。