外科の概要
当院の外科は、肛門疾患や創傷といった一般的な外科疾患から、透析導入時のシャントOPEまで幅広く行っております。
シャントOPEに関しては当院の地域医療連携室へ一度ご相談ください。
医師紹介
藤原 一郎 [外科主任部長]
■ 資格
日本外科学会認定医・外科専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
対象疾患・治療について
1.透析関連の手術
▼血液透析患者さんのバスキュラーアクセス手術
腎不全患者さんでは失われた腎機能を補完するために腎代替療法が必要になります。代表的な腎代替療法のひとつである血液透析では治療時に血管から約200mL/分の勢いで血液を取り出して透析を行います。この量の血液を取り出すには通常の静脈では不十分であるため、“バスキュラーアクセス”を作成することが血液透析治療を開始する前に必要となります。
バスキュラーアクセスには患者さん自身の動脈と静脈を吻合して作成する内シャントや、人工血管を使用するグラフト移植術、透析用のカテーテルを長期に使用できるように皮下トンネルを設けて挿入する方法などがあり、血管の状態や全身状態に合わせて選択します。
また、すでに使用しているバスキュラーアクセスの閉塞、穿刺困難、瘤形成、感染などの問題が生じた際には、新しいバスキュラーアクセスの再建が必要になります。
①自己血管による内シャント
血液透析患者さんのバスキュラーアクセスの最も標準的な方法です。前腕の手関節近くで橈骨動脈と橈側皮静脈とを吻合します。
発育したシャント静脈
②人工血管移植
自己血管が細く、透析時に穿刺する部位が確保できない場合は人工血管を移植します。
③長期留置型カテーテル留置術
血管の状態や全身状態によって、上記①②を行うのが困難な場合は内頸静脈や鎖骨下静脈などから血液透析用カテーテルを挿入し、皮下トンネルを通じてカテーテルの出口部を設ける方法です。
▼腹膜透析患者さんの腹膜透析カテーテル留置術
腎代替療法には血液透析以外にも腹膜透析という方法もあります。腹膜透析は自身の腹腔内に透析液を貯留し、腹膜を介して透析を行う方法です。自宅で、ご自身で行える透析ですので血液透析のように頻回に病院へ通院する必要はありません。
腹膜透析を行うためには、腹腔内に腹膜透析カテーテルを挿入する手術が必要になります。通常は第一段階として腹腔内へのカテーテル留置する手術を行い、その後、二段階目として透析液の出し入れのため体外へカテーテルの一端をだす出口部を作成する段階的腹膜透析導入法(SMAP法)で手術を行います。
▼当院での透析関連手術の特徴
井上病院では血液透析、腹膜透析のどちらの治療にも対応しています。患者さんに最適な治療法を選択していただき、それぞれの透析法に応じてバスキュラーアクセス、腹膜透析カテーテル挿入の手術を行います。
また、すでに使用中のバスキュラーアクセスのトラブルが生じたときには外科医(手術担当)、内科医(腎不全の管理担当)、放射線科医(血管内治療担当)が協働で相談し、最適な対応法を検討します。手術は局所麻酔で行うものもありますが、必要時は全身麻酔下で行います。全身麻酔は麻酔科専門医が担当しますので安心して手術を受けていただけます。
2.一般外科(消化器外科)
腹腔鏡下鼠径へルニア根治術、簡単な肛門疾患治療(ジオン硬化療法)なども行なっています。