総合内科の概要
総合内科では患者さんが「元気に自立して生きること」や、「最も大切にしていること」を一緒に考える診療を行なっています。外来から入院診療まで、特に幅広く高齢患者さんの診療に力を入れていきます。
超高齢社会を迎え、複数の持病を抱えた高齢患者さんが増えています。各専門領域では医療が日進月歩の勢いで進化し、新しい知見の構築も加速し、診療の指針が目まぐるしく更新されています。このように、専門科の先生の縦への成長が続く一方で、複数の持病がある患者さんをどの医師が診療するかという問題が出てきました。それぞれの病気、専門科の先生の診療を横に紡ぐのが井上病院の総合内科です。
また、井上病院総合内科では診療看護師(NP)を雇用しています。NPは5年以上の看護経験を持ち、大学院修士課程を修了し、資格認定試験に合格した、診療と看護に従事する看護師です。NPは治療に関する医師のCure(キュア)の視点と、病に悩む患者さんが生活に戻るためにどうしたら良いかという看護師のCare(ケア)の視点を持っています。特に高齢患者さんの診療では上記の両視点が大切であり、医師・NPでチーム診療を行なっていきます。
スタッフ紹介
濵田 治 [部長]

■ 資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
ECFMG certificate
米国内科学会上級委員(Fellow of the American College of Physicians)
鴻池 陵 [診療看護師]

経田 由美 [診療看護師]

高槻病院・井上病院・しんあいクリニック 総合内科 公式X
高槻病院・井上病院・しんあいクリニック総合内科の公式アカウントです。最新の医学知識や総合内科活動の紹介、カンファレンスの共有を行います。
[プロフィール変更しました]
— 高槻病院・井上病院・しんあいクリニック 総合内科 (@Takatsuki_GIM) July 27, 2024
みなさん、おはようございます😀
今年度のプロフィール画像はこれまでの写真から似顔絵にしました
ぜひ一度プロフィールも覗いてみてください☺️
合わせて、アカウント名に井上病院・しんあいクリニックを追加しました
適宜、各施設の活動も報告していきます!🌈
対象疾患
•多種多様な内科疾患に対応をしています
•高齢患者さんの内科疾患だけでなく、 老年症候群(※)と呼ばれる高齢患者さん特有の症状も専門的
に対応しています
※老年症候群でよくみられる症状・相談
✔からだがだるい
✔食欲が減ってきた
✔食べ物が飲み込みにくくなった
✔急に体重が減ってきた
✔微熱が続く
✔物忘れが多くて不安
✔最近よく転ぶようになった
✔薬が多くて飲むのがつらい
✔療養や介護について相談したい
✔人生会議「もしものとき」について相談したい
高齢患者さんの診断や治療には、様々なリスクや状態を考慮した包括的な対応が重要となります。患者さん・ご家族の不安や悩みを一緒に考えていきます。病状が専門的な診断・治療を必要とする場合は専門科へご紹介します。
内科全般、誤嚥性肺炎・尿路感染症・蜂窩織炎などの感染症、脊椎圧迫骨折や大腿骨近位部骨折など骨折患者さんの整形外科との協同診療などを行います。
総合内科からのおしらせ
総合内科部長濵田治が野口医学研究所のセミナーで講義しました
米国臨床留学を支援してきた野口医学研究所が主催するオンラインセミナーである野口グランドラウンドで総合内科部長の濵田が講演しました。
タイトル: 黄色ブドウ球菌菌血症:臨床医が知るべき重要なポイント
本講義では、2025年4月7日にJAMAに掲載されたレビュー“Management
of Staphylococcus aureus Bacteremia” をもとに、実臨床で押さえておくべき重要な視点を解説しました。
総合内科専攻医 冨手生成が米国内科学会(ACP)日本支部 年次総会2025でポスター発表をしました
発表タイトル:Elsberg Syndrome Following Aseptic Meningitis: A case Report
2025年6月28日〜29日に、東京都 国際医療福祉大学赤坂キャンパスにて開催された米国内科学会(American College of Physicians:ACP)日本支部 年次総会2025において、当院に短期研修に来た高槻病院 総合内科専攻医 冨手生成が、ポスター発表を行いました。
本発表では、無菌性髄膜炎を契機として発症したElsberg症候群の稀な症例を報告しました。この症例は、ACP日本支部とフロリダ大学リウマチ・免疫内科のGerald H. Stein先生との共同臨床推論カンファレンスで議論され、Stein先生のご指導のもと、現在英文症例報告として国際誌に投稿中です。
今後も当院では、若手医師の学術活動を積極的に支援し、国内外の専門家との交流を通じて、より質の高い医療と教育の提供に努めてまいります。

総合内科部長 濵田治が米国内科学会(ACP)日本支部 年次総会2025で
座長を務めました
2025年6月28日〜29日にかけて、東京都の国際医療福祉大学赤坂キャンパスにて開催された米国内科学会(American College of Physicians:ACP)日本支部 年次総会2025において、当院総合内科部長 濵田治が座長を務めました。
本セッションでは、全国の総合内科/総合診療分野を牽引されている飯塚病院 総合診療科 清田雅智先生より、2024年に国内で大流行したマイコプラズマ肺炎についてご講演いただきました。講演では、臨床現場における診断の工夫、薬剤選択の考え方、さらには抗菌薬に過度に依存しないマネジメントの重要性に至るまで、実践的かつ示唆に富んだ内容が紹介されました。

mMEDICI株式会社 廣瀬直紀先生 特別講演会を開催しました
2025年6月12日、当院でオンライン特別講演を開催し、mMEDICI株式会社CEOの廣瀬直紀先生をお迎えしました。講演のテーマは「疫学専門家が教える明日からできる医学論文の効率的読み方講座」。先生が東京大学公衆衛生大学院で学ばれた先読み型の論文読解法、論文の型についてご講演いただきました。オンライン配信を用いて、合計40名以上の方々にご参加いただきました。今回の学びを日々の臨床や研究に活かしていきたいと思います。
https://mmedici.co.jp/press/0WoyJcS6

診療看護師原田夏実が医学雑誌に執筆しました
高槻病院から短期研修に来ている総合内科診療看護師 原田夏実が『レジデントノート2025年7月号』(羊土社)特集
「医学情報の集め方・活かし方ー生成AI時代のスタンダード」において、以下の企画を執筆しました。
病棟業務がうまくまわる!医師と看護師のすてきな指示簿
診療看護師からのひとこと【第4回 内服薬・外用薬のオーダーのしかた】
与薬の流れから、薬剤オーダーの鉄則、あるある事例とその改善案まで解説しています。
ぜひご覧ください
📖書籍の詳細・目次は羊土社の公式サイトより:https://www.yodosha.co.jp/rnote/book/9784758127363/
マウントサイナイ医科大学老年医学科 山田悠史先生 特別講演会を開催しました

2025年6月3日、当院にて特別講演を開催し、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学・緩和医療科でアシスタントプロフェッサーとしてご活躍中の山田悠史先生をお迎えしました。 講演のテーマは「透析患者に対する老年医学評価」。米国老年医学専門医としての豊富なご経験から、最新の知見をわかりやすくご紹介いただきました。 特にGeriatric 5Ms(老年医学の5つのM)に関する具体的な臨床ツールは、明日からの診療に直結する内容で、多くの参加者にとっても大変実践的な学びとなりました。「ぜひオンラインでも参加したい」という声が多く寄せられたことから、当日は院内の現地参加に加え、オンライン配信を併用し、合計60名以上の方々にご参加いただきました。今回の学びを日々の外来・入院診療に活かしていきたいと思います。
診療看護師 鴻池陵が医学雑誌に執筆しました
総合内科診療看護師 鴻池陵が、『レジデントノート2025年6月号』(羊土社)特集「誰も教えてくれなかった病棟回診ー各時間帯でみるべきもの、やること、情報収集の勘所ー」において、以下の企画を執筆しました。
病棟業務がうまくまわる!医師と看護師のすてきな指示簿
診療看護師からのひとこと【第3回 注射オーダーのしかた】
指示を受ける側・出す側の両方を経験した診療看護師として、より良い医師-看護師間の協働を目指した”すてきな指示簿”を提案しています。
本記事では特に以下のポイントを解説しています:
・点滴投与までのプロセスを理解し、現場の流れを踏まえた指示出しの
大切さ
・メディカルスタッフに配慮したオーダーが、医師・看護師双方に
とって効率的で、チーム医療の質を高めるという視点
ぜひご覧ください
📖書籍の詳細・目次は羊土社の公式サイトより:
https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758127349/
総合内科部長 濵田治の原著論文がBMJ Open Quality誌に受理されました
総合内科部長 濵田治の原著論文がBMJ Open Quality誌に受理され、公開されました。
https://bmjopenquality.bmj.com/content/14/2/e003218
論文タイトル:Improving respiratory rate monitoring in general wards following implementation of a rapid response system: a quality improvement initiative
院内迅速対応システム(RRS)導⼊を通じた⼀般病棟での呼吸数測定向上に関する医療の質改善プロジェクト
本研究は、濵田医師が前任地である法人内の高槻病院において、プロジェクトリーダーをつとめた医療の質改善(QI)プロジェクトの成果を論文化したものです。
RRSは院内で急変した患者の予後を改善するため、世界中で導入が進んでいます。その運用には、看護師による患者急変の早期察知が重要な役割を果たします。特にバイタルサインの中でも呼吸数は急変の予測因子として非常に重要とされていますが、測定が不十分であるケースが多く見られます。高槻病院でもRRS導入に際し、呼吸数測定割合の低いことが課題として浮上しました。そこで、RRS委員会主導のもと、⼀般病棟での呼吸数測定向上を目的としたQIプロジェクトが実施されました。
その結果、研究期間中に一般病棟での看護師による呼吸数測定の割合が3倍以上に増加するという成果が得られました。この成果が得られた背景について、多角的な要因分析やプロセス評価が実施されました。
総合内科部長 濵田治が『Hospitalist』2025年2号「薬物治療の質向上」特集の責任編集を担当

総合内科部長 濵田治が編集委員を務めるHospitalist誌(MEDSiメディカル・サイエンス・インターナショナル社)で、「薬物治療の質向上」特集の責任編集を担当させていただきました。
本特集では、練馬光が丘病院薬剤師 榎本貴一先生をゲストエディターにお迎えし、第一線で活躍する専門家の先生方に、薬物治療の質向上に関する知識と実践について、わかりやすく解説いただきました。「薬物治療の質向上の知識・スキル習得」や「医師と薬剤師の協働」に役立つトピックスを幅広く取り上げており、医師・薬剤師・診療看護師をはじめ、多くの医療従事者の皆様にご活用いただける内容となっています。
ぜひ、お手に取っていただければ幸いです。
MEDSiホームページの商品紹介のリンクは下記です。
目次も載っています。
https://www.medsi.co.jp/products/detail/4015
総合内科部長 濵田治が第30回日本病院総合診療医学会学術集会で演題を発表しました
発表タイトル:コマネジメントの実際:入院から退院までのケアプロセスを徹底解説!
2025年2月22日から24日にかけて、広島県の広島国際会議場で開催された第30回日本病院総合診療医学会学術集会において、総合内科部長である濵田治がパネルディスカッションで発表しました。
コマネジメントは内科医が他科患者の医療ケアに関する責任・権限・説明責任を共有するモデルです。米国で老年内科やホスピタリストと整形外科とのコマネジメントが患者アウトカム、患者・医療従事者の満足度を向上させることなどが報告されています。
本発表では、井上病院総合内科が整形外科と開始したコマネジメントの仕組みや成果が紹介されました。

総合内科部長 濵田治の原著論文がJournal of Orthopaedic Science誌に受理されました
総合内科部長 濵田治の原著論文がJournal of Orthopaedic Science誌に受理され、先行公開されました。
2025年4月10日までの50日間、以下のリンクより無料で全文をご覧いただけます。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0949265825000387?dgcid=author
論文タイトル:
Association of cirrhosis severity with outcomes after hip fracture repairs:
A propensity-score matched analysis using a large inpatient database
(肝硬変の重症度と大腿骨近位部骨折術後の転帰との関連:全国大規模入院データベースを用いた傾向スコアマッチング解析)
本研究は、全国の入院患者データベース(DPCデータベース)を用いて、大腿骨近位部骨折患者における肝硬変の重症度(Child-Pugh分類)が術後転帰に与える影響を傾向スコアマッチング解析により検証した後ろ向き観察研究です。
▪背景
進行した肝硬変は複数の外科手術において術後死亡率の増加と関連することが知られていますが、大腿骨近位部骨折患者における肝硬変の重症度と術後転帰の関連性は十分に明らかにされていませんでした。
▪主な結果
・Child-Pugh分類が重症であるほど、術後転帰が不良であることが示されました。
・特に、Child-Pugh class Cの患者における院内死亡率は、class Bの患者と比較して4倍以上(6.3 % vs. 28.4 %; RD 22.09 % [95 % CI: 17.54%–26.63 %], RR 4.48 [95 % CI: 3.10–6.48] )でした。
▪臨床的示唆
この結果は、進行した肝硬変を有する患者、特にChild-Pugh class Cの患者に対して、個別化されたリスク・ベネフィットにの十分な議論が必要であることを示唆しています。また、周術期管理における多職種連携の重要性と、患者ごとの治療目標を踏まえた慎重な意思決定の必要性が強調されました。

総合内科 チーム功労賞受賞
総合内科が病院から表彰され、チーム功労賞を受賞しました。
近隣の医療機関や患者様、そのご家族、医療従事者から信頼される病院を目指して、当科も引き続き努力してまいります。

総合内科部長 濵田治が第19回医療の質・安全学会学術集会で演題を発表しました
2024年11月29日から30日にかけて、神奈川県のパシフィコ横浜ノースで開催された第19回医療の質・安全学会学術集会において、総合内科部長である濵田治が一般口演を行いました。
発表タイトル:院内迅速対応システム(RRS)導⼊を通じた⼀般病棟での呼吸数測定向上に関する医療の質改善プロジェクト
本発表では、濵田医師が前任地である法人内の高槻病院において、プロジェクトリーダーをつとめた医療の質改善(QI)プロジェクトの成果が紹介されました。RRSは院内で急変した患者の予後を改善するため、世界中で導入が進んでいます。その運用には、看護師による患者急変の早期察知が重要な役割を果たします。
特にバイタルサインの中でも呼吸数は急変の予測因子として非常に重要とされていますが、測定が不十分であるケースが多く見られます。高槻病院でもRRS導入に際し、呼吸数測定割合の低いことが課題として浮上しました。そこで、RRS委員会主導のもと、⼀般病棟での呼吸数測定向上を目的としたQIプロジェクトが実施されました。
その結果、研究期間中に一般病棟での看護師による呼吸数測定の割合が3倍以上に増加するという成果が得られました。この成果は、呼吸数測定の向上において、即効性と持続性を備えた介入の有効性を示す重要な知見として報告されました。
総合内科診療看護師 鴻池陵が第10回日本NP学会学術集会で演題を発表しました
2024年11月22日から24日にかけて、東京の国際医療福祉大学で開催された第10回日本NP学会学術集会において、総合内科の診療看護師である鴻池陵が一般口演を行いました。
発表タイトル:診療看護師主導の医療の質改善プロジェクト開始前における院内転倒の現状と課題
本発表では、診療看護師が看護師として患者ケアの最前線で培った経験を活かし、診療の視点から院内転倒を分析し、効果的な介入を行える可能性について発表しました。また、診療看護師が研究手法を習得することで、医療の質向上において中心的な役割を果たす潜在能力があることを発表しました。
広報誌 蒼空Vol.49掲載

総合内科部長濵田治が第9回米国内科学会インド支部年次総会2024で講義しました
2024年8月16-18日にインドのラクナウで開催された第9回米国内科学会インド支部年次総会2024(American College of Physicians India Chapter 9th Annual Meeting of the IM ACP INDIA 2024)で総合内科部長の濵田が講演しました。
タイトル:Japan’s Healthcare System -its challenges and solutions-
インドは、国民皆保険がなく、医療インフラの未整備や医師不足と偏在など、様々な医療問題を抱えています。一方、日本の医療システムは、国民皆保険制度に基づき、高い医療サービスの質を提供しており、世界から称賛されています。しかし、超高齢化や医療費の増大、医師の偏在といった課題にも直面しています。今回の講演では、日本の医療システムとその課題への取り組みを共有し、文化や背景の違いを超えて、インドが抱える医療問題の解決に向けたヒントを提供することを目指しました。
総合内科部長濵田治が野口医学研究所のセミナーで講義しました
米国臨床留学を支援してきた野口医学研究所が主催するオンラインセミナーである野口グランドラウンドで総合内科部長の濵田が講演しました。
タイトル:あなたが透析患者の入院担当になったらー明日から使えるシャントの観察ポイントー
透析患者さんが入院した時の注意点、シャントの診察方法など、総合内科の立場から講義をしています。
愛仁会グループ広報誌ア・ラウンドで総合内科の設立と展望について特集が組まれました。
院長・看護部長・事務部長・内科部長と座談会を開き、それぞれの視点から総合内科の設立背景・目的・そして期待される影響について深掘りされています。
表紙の画像をクリックすると内容を閲覧いただけます。(PDFが開きます)

総合内科部長 濵田治が協力員として参与した「冠動脈疾患一次予防ガイドライン」がCirculation Journal誌に掲載されました
総合内科部長 濵田治が協力員として関わった、日本循環器学会の「2023年改定版 冠動脈疾患一次予防ガイドライン (JCS 2023 Guideline on the Primary Prevention of Coronary Artery Disease)」がCirculation Journal誌に掲載されました。
このガイドラインは、日本語版に続き英語版も公開されました。前身の「虚血性心疾患の一次予防ガイドライン」は2001年に初版が発表され、その後およそ5年ごとに改定を重ねてきました。今回、「2023年改定版 冠動脈疾患一次予防ガイドライン」と名称を改め、最新の医学情報を提供するために刊行されました。このガイドラインは、冠動脈疾患の予防における現場での判断の一助となることを目的としています。
以下はフルテキスト閲覧用のリンクです。
学生や初期・後期研修医の地域研修を受け入れています
当院総合内科では、2024年度から他院からの内科後期研修医の研修を受け入れております。また、2025年度からは初期研修医の地域研修も受け入れを開始しました。2025年度は、淀川キリスト教病院・高槻病院・済生会吹田病院・明石医療センターより、計19名の研修医の先生が2〜5週間の研修に来る予定です。2026年度には、大阪市立総合医療センターやHITO病院(愛媛県)からもご依頼をいただいております。
さらに、国際医療福祉大学(東京)の診療看護師学生実習や、医学生のクリニカル・クラークシップの受け入れも行っております。
研修体験記
当院での研修を終えた研修医や学生の皆さんに、研修体験記をご寄稿いただきました。
バックナンバー
【初期研修医】2025年4月1日~4月30日 淀川キリスト教病院 K.N.先生
【初期研修医】2025年4月30日~5月9日 高槻病院 K.M.先生
【初期研修医】2025年5月14日~5月23日 高槻病院 Y.H.先生
【初期研修医】2025年6月5日~6月18日 高槻病院 T.N.先生
【初期研修医】2025年6月16日~7月18日 済生会吹田病院 A.Y.先生
【NP学生】2025年7月7日~7月11日 国際医療福祉大学 H.S.さん
淀川キリスト教病院 初期研修医2年目 K.N.先生
研修期間
2025年4月1日〜4月30日
はじめに(目的・動機)
私が井上病院での地域研修を志望した理由は、総合内科的な視点を学びたいと考えたからです。私は3年目以降の専門として内科系への進路を考えており、どの診療科に進むにしても内科系疾患全般を総合的に見ることができる医師になることを目指しています。そのために必要な知識と経験を得られると考え、井上病院を選択しました。
研修内容
主な研修内容としては、病棟患者を担当し、自身で問診や診察を行い、上級医と共に今後の方針について考えることでした。毎朝のカンファレンスではプレゼンテーションを行い、方針の誤りや不足している点をブラッシュアップしていただきました。また、高槻病院総合内科との合同勉強会に参加したり、インフォームドコンセントの機会をいただいたり、中心静脈カテーテル留置といった手技を経験することができました。訪問看護に同行したり、外来診療の見学をしたりと、地域研修特有の内容も多く経験させていただきました。どの内容も丁寧にご指導いただき、大きな学びとなりました。
学んだこと・気づき
主に学んだことは3点あります。1つ目はカルテや診療情報提供書の書き方です。患者の問題に対して一つ一つアセスメントを行い、他の医療従事者が診療内容や方針を理解しやすい書き方を教えていただきました。井上病院は転院先となることも多く、診療情報提供書の受け取り手としての経験を通じて、どのような情報が必要とされるのかを理解することができました。
2つ目は臨床推論に関する学びです。日々の診療の中で生じた疑問に対して、どのように解決していくかを学びました。特に、UpToDateや生成AIの使い方について、適切な利用法や注意点を教えていただきました。
3つ目は退院調整に関する経験です。退院調整を行う機会が多く、退院先としての選択肢や、家族・本人の希望、リハビリによるADL改善の見込みについて考える習慣を身につけることができました。
その他、看護能力と診療能力を兼ね備えた診療看護師と働く初めての機会を得て、新しい視点を学ぶことができました。
今後への活かし方
井上病院で学んだことは、今後の診療、特に3年目以降に専攻医となった際に大いに役立つものばかりです。総合内科的な能力に加え、カルテの書き方、臨床推論、退院調整など、様々な点で大きく成長できたと感じています。学んだことを忘れないよう、今後の診療でも活かし、自身のものにしていきたいと思います。
まとめ
井上病院は、医師に限らずどの職種の方も優しい人ばかりで、気持ちの良い挨拶が飛び交う暖かく働きやすい職場でした。その中で総合内科的な能力をこの時期に学べたことは、今後の医師人生に大きく生きてくると確信しています。内科系を専攻する予定のある研修医や、総合内科的な視点を学びたいすべての研修医に、井上病院での地域研修をお勧めします。最後に、お世話になった濵田先生、藤本先生をはじめとした井上病院のスタッフの皆様には心から感謝申し上げます。
指導医からひと言
臨床に対するひたむきな姿勢と、患者様やスタッフへの温かい接し方がとても印象的でした。担当された患者様が退院時に涙ながらに感謝の言葉を伝えていた姿から、先生がどれだけ信頼されていたかがよく伝わってきました。これからのご活躍を応援しています。お疲れさまでした。
高槻病院 初期研修医2年目 K.M.先生
研修期間
2025年4月30日〜5月9日
井上病院地域研修体験記
今回の地域研修では、井上病院にて地域研修をさせていただきました。私は普段、高槻病院という急性期病院で勤務しており、患者様をリハビリ目的で他院に転院いただくことが多いです。今回の研修を通じて、そうした患者様が実際に転院後、どのようにリハビリテーションを受け、どのような調整の上で自宅へ退院されるのかを学ぶことができました。特に、入院時から退院前カンファレンスまで一貫して見学できたことで、具体的な流れや多職種連携の様子をより明確にイメージすることができ、今後の診療に活かせると感じました。
また、研修中には私自身の対応が不十分で、担当患者様とのコミュニケーションがうまく取れず、トラブルに発展してしまう場面もありました。その際には、濱田先生が迅速に対応してくださり、問題解決のためにご尽力いただきました。加えて、どのように対応すべきかをご指導いただき、医学的な知識だけでなく、社会人として必要な処世術についても学ぶことができ、大変貴重な経験となりました。
井上病院での研修は、高槻病院以外の病院で初めての勤務経験でもありましたが、診療科間の垣根が低く、他科の先生方も気さくに話しかけてくださるなど、風通しの良い職場環境であると感じました。また、医師のみならずコメディカルの方々も積極的に挨拶してくださり、病院全体として非常に温かい雰囲気が印象的でした。このような環境が、患者様のリハビリや退院支援にも良い影響を与えているのではないかと思います。
さらに、病院食堂の食事も非常に印象的で、1食300円というリーズナブルな価格にもかかわらず、ボリュームがあり、とても美味しく、毎日の楽しみとなっていました。
今回の地域研修を通じて、急性期病院では見えにくかった患者様のその後の過程を学ぶことができ、医師としての視野を広げる貴重な機会となりました。
指導医からひと言
体験記に書かれていた患者様が、退院前カンファレンスで先生に握手を求め、力強く握手を交わしたエピソードがとても印象に残っています。先生の真摯な姿勢が患者様にしっかりと届いた結果だと思います。今後もその姿勢を大切に、ぜひ素晴らしい医師になってください。お疲れさまでした。
高槻病院 初期研修医2年目 Y.H.先生
研修期間
2025年5月14日〜5月23日
井上病院での地域研修を終えて
地域研修として約2週間、井上病院総合内科で研修をさせていただきました。病棟管理だけでなく退院調整、外来見学、退院後訪問指導と沢山の経験をさせていただきとても充実した研修期間となりました。
井上病院では自病院との違いを意識する場面が何度もありました。ひとつひとつの物品や院内ルールの違いだけでなく、患者層やニーズ、地域における病院としての役割の違いを感じることができました。
そして、もう1点印象に残ったのが、退院後訪問指導への同行です。「患者さんが退院後にあらたに発生した問題点があるか」や「退院前にイメージしていた通りの生活ができているか」という目線からみることを学ばせていただきました。訪問看護や訪問診療とはまた違った、入院中からの病状の変化を知っている存在が介入することで患者さんの些細な変化に気が付くことができる点でとても良いと思いました。
短い期間でしたが、医師、コメディカル、スタッフの皆さんがとてもフレンドリーに温かく接してくださり、毎日楽しく過ごすことができました。自病院に帰ってからもこの経験を活かしながら少しずつ成長していければと思います。ありがとうございました。
指導医からひと言
退院後訪問指導では、「病院中心」ではなく「患者様のくらしを支える」と言う視点の重要性をしっかりと学ばれていたのが印象的でした。向上心の高さと主体的な学びの姿勢がとても素晴らしかったです。これからの成長を楽しみにしています。お疲れさまでした。
高槻病院 初期研修医2年目 T.N.先生
研修期間
2025年6月5日〜6月18日
井上病院地域研修体験記
今回の地域医療研修では、井上病院にて慢性期医療を中心とした診療の現場を体験させていただいた。慢性期病院という環境は、急性期医療とは異なり、患者さんの生活背景や社会的要因に寄り添った長期的な支援が求められる場である。今回の研修を通じて、地域包括ケアの実践、チーム医療の重要性、高齢者医療の現実など、さまざまな学びを得ることができた。
井上病院では、主に高齢の患者さんが入院している。例えば、心不全増悪で入退院を繰り返している方が急性期の治療を終えた後にADL回復目的に入院され、在宅復帰に向けたリハビリや介護支援が継続して行われており、医療だけでなく生活の質(QOL)を高める取り組みが重視されていた。
また、病棟で入院されている患者さん以外にも退院後施設や自宅へ帰られた方のもとへ訪問し、退院後の服薬や生活上の注意点等を確認する退院後訪問指導にも同席させていただくことができた。退院後、患者さんが実際にどのような生活を送っているかを確認することができ、退院時に気を付けなければいけない点などが想像しやすくなった。
また、高齢者医療においては、延命治療の是非やACP(アドバンス・ケア・プランニング)も重要な課題であると感じた。実際の現場では、家族との面談を通して患者さんの価値観を尊重しつつ、現実的な医療の選択がなされていた。病状の進行とともに、「治す医療」から「支える医療」への移行が求められる中で、医師の役割もまた変化していくことを学んだ。
井上病院での研修を通じて、地域医療における慢性期病院の意義と、医療と生活を結びつける支援の在り方を理解することができた。今後医師として、疾患そのものだけでなく、患者さんの生活背景や人生観にも配慮した医療を実践していきたいと強く感じた。
指導医からひと言
慢性期病院で、患者さんがどのようにくらしへ戻っていくかを熱心に学んでいました。回診を1日2回し、転院後に不安を抱える患者さんに寄り添った丁寧な診療をする姿が印象的でした。医師として求められる資質・能力をすでに高いレベルで備え、さらに磨こうとする姿勢にも感銘を受けました。ぜひ立派な指導医やチームリーダーへと成長していかれることを期待しています。
済生会吹田病院 初期研修医2年目 A.Y.先生
研修期間
2025年6月16日~7月18日
井上病院地域研修体験記
地域研修として井上病院で5週間研修させていただきました。亜急性〜慢性期の病院で何が行われているのか、そこからどのように退院して行くのかを見ることができて興味深かったです。
カルテの書き方や総合内科的な目線、内科の知識はもちろんのこと、看護師さんや薬剤師さんと上手く連携を取るための工夫等も学ばせていただきました。濱田先生と専攻医の先生、診療看護師(NP)さんがとても教育熱心で、記載したカルテをきちんと確認してフィードバックをくださったり、カンファレンスで発表したり、診療情報提供書を書く機会を研修医にも与えてくださったことがとても有り難かったです。
また、総合内科で研修させていただいていたにも関わらず、他科の先生がCVカテーテル挿入等の手技をさせてくださったことにも感動しました。院内ですれ違うスタッフの方が必ず挨拶してくださるのが、井上病院が働きやすく素晴らしい病院であることの表れだと感じました。
内科を志望する人は、地域研修で井上病院を選択することをお勧めします。教えていただいたことを忘れず残りの半年、初期研修に励みたいと思います。5週間、ありがとうございました。
指導医からひと言
研修が進むにつれて、山本先生の持ち味や積極性が随所に発揮されていましたね。高槻病院からの研修医の先生方とも交流が生まれ、他科の先生方からも可愛がられながら手技の機会も得て、日を追うごとに意欲的に研修に取り組む姿がとても印象的でした。新たな環境の中で多くを吸収し、着実に成長されていく先生の姿を間近で見ることができて、とても嬉しかったです。
国際医療福祉大学 特定行為看護師養成分野 修士課程2年目 H.S.さん
研修期間
2025年7月7日~7月11日
井上病院地域研修体験記
この度、社会医療法人愛仁会井上病院の総合内科で診療看護師として実習の機会をいただきました。日々、患者の自立した生活や人生における大切なものを重視する診療方針に触れて、多くの学びと気付きを得ることができました。
実習で最も印象的だった点は、高齢患者や複数の持病を抱えた方に対して、多職種が連携して一人ひとりに寄り添うチーム医療でした。医師だけでなく、看護師や理学療法士などの他職種と密に情報共有を行い、患者さんの生活背景や価値観に応じた介入方法を決定していく過程を実際に経験できました。また医師の診断や治療計画への関わりだけでなく、患者やご家族への説明の場にも同席させていただきました。私は、急性期医療しか経験したことがなく、実際に慢性期患者に関わらせて頂き、慢性期管理の難しさや治療単体として考えるのではなく「医療」と「生活支援」が一体として考えていく重要性を強く感じました。
日々の実習指導では、カルテ記載やプレゼンテーション、治療内容の考え方など、基礎から実践に持っていけるよう熱心にご指導をいただきました。特に、患者の全体像を把握し、生活者として捉える点は、座学では得られない臨床実践でした。プレゼンテーションでは、自分の思考を整理する訓練にもなり、日々の振り返りを行うことによって自分に足りない新たな課題や今後の成長目標を明確にすることができました。また、診療看護師として、自分がどんな役割を担えるか、多職種との連携や実際の患者へのアプローチ、退院後の生活まで見据えた支援について深く考える機会となりました。
他の病院でも実習をさせて頂く経験がありましたが、各診療科の垣根が無く会話することができ医局内もアットホームな環境で、風通しが良い職場環境であると感じました。そのため、短期間の実習でしたが、知識やスキルの不足を痛感しつつも、診療看護師としての視点や役割を実践的に理解することができ、今後のさらなる成長への動機づけになりました。
最後に、指導していただいた濵田先生、経田NP、鴻池NP、一緒に働いた医療チーム、患者やご家族に心から感謝します。今後も、患者と寄り添い多職種と協働しながらより良い医療が提供できるよう診療看護師として貢献したいと強く感じました。
指導医からひと言
短期間で多くを吸収し、真摯に学んでいた姿勢が体験記からも伝わってきました。急性期の治療を終えた時に、「ヘルスケア」と患者さんの「くらし」の接点を見つめ、課題を言語化し、行動に移していましたね。「NPだからこそできる価値提供」を意識された今後のご活躍を心から応援しています。