放射線科の概要
井上病院 放射線科ではCT・MRI・各種造影検査などの画像診断と透析シャントPTA・透析シャント血栓除去などのIVR治療を行っています。
当院のシャントPTA治療は基本的には外来治療で行っております(血栓閉塞治療や複雑症例・鎮静剤を使用したPTAは入院で対応しています)。
医師紹介
森本 章 [副院長]

■ 資格
日本医学放射線学会放射線診断専門医
日本医学放射線学会放射線科専門医
日本IVR学会IVR専門医
日本透析アクセス医学会VA血管内治療認定医
透析バスキュラーアクセスインターベンション治療医学会VAIVT認定専門医
田中 佐織

■ 資格
日本医学放射線学会放射線診断専門医
日本医学放射線学会放射線科専門医
日本医学放射線学会研修指導者
日本IVR学会IVR専門医
日本乳がん検診精度管理中央機構検診マンモグラフィ読影認定医師
対象疾患・治療について
検査
▼ 画像診断
当院の放射線科では、本院に1.5T MRI(PHILIPS社)、64列 MDCT(PHILIPS社)、血管造影装置(PHILIPS社)、X線TV、2台の一般撮影装置、附属診療所にX線TV、一般撮影装置、胸部専用撮影装置、マンモグラフィ、井上診療所に一般撮影装置があり、診療放射線技師の協力のもと各診療科から求められる画像と画像レポートの返信がすみやかに行えるよう心がけています。
また地域医療連携室を通して、近隣の医院やクリニックからの検査紹介も随時行っております。当院は土曜日も検査可能ですので、お仕事されている方で、平日は受診が難しい患者さんも検査を受けていただけます。
また通常の検査紹介だけでなく、健康診断の二次検診などでもお気軽にご利用ください。
治療
当院のシャントPTA治療における最近の進歩
2000年に井上病院に赴任してから、2万件以上のシャントPTA治療を行ってきました。その間に治療概念を大きく変えるような変化として硬度狭窄に対する30気圧以上加圧できる超耐圧バルーンの登場、血栓吸引治療による閉塞治療の成功率向上、エコー下PTAへの移行、AVFに対する薬剤塗布バルーンの使用、AVGへのステントグラフト、PTA治療の痛みに対する皮神経ブロック導入がありました。これらのうち最近のシャントPTA治療の進歩についてご紹介させていただきます。
①エコー下PTAへの移行(全面移行は2019年7月から)
以前は造影・透視でのシャントPTAで困った場合にのみエコーを併用していましたが、2019年7月に高性能な超音波診断装置を導入したことで、中心静脈の治療以外の症例はほとんどエコー下のみで治療を行なうようになりました。
エコー下PTAは血管内腔を描出しながらガイドワイヤ操作やバルーン拡張を行うことができます。拡張の状態もリアルタイムで把握できるため、透視・造影でのPTAに比べ安全で確実な治療を行うことが可能となりました。
また血栓閉塞治療でもエコー下PTAは有用で、エコーで血栓を確認しながら血栓吸引を行うため確実な治療が可能となり、ウロキナーゼが使用できなくなってからも、2022年2月にウロキナーゼの供給が停止してからも成功率を下げることなく治療できています(2022年2月以降の手技成功率AVFで96%、AVGで99%)。

②薬剤塗布バルーン(DCB: Drug Coating Balloon)とステントグラフトの導入(2021年5月から)
内シャントの早期再狭窄症例に対しては適応使用指針の範囲内であれば薬剤塗布バルーン(DCB)が使用できるようになりました。狭窄した血管を拡張し、再狭窄を抑制するパクリタキセルをバルーンに塗布したDCBを使って拡張した血管に薬剤を塗布する治療です。3か月未満の早期再狭窄の患者さんであっても、DCBを使用すると、平均で開存期間が約2倍に延長させることが可能となっています。
また人工血管シャントの静脈吻合部の頻回狭窄や閉塞をきたす患者さんにはステントグラフトが使用できるようになりました。ステントグラフトはステントに人工血管と同じ素材のPTFEの薄い膜を内張したデバイスで、ステントグラフトを留置すると、その後のPTA介入回数や閉塞回数を減らすことが可能となっています。
どちらもデバイスもその使用には資格が必要で、適応使用指針に沿って使用する必要がありますが、PTAだけでは早期再狭窄となっていた患者さんにとっては画期的な治療であり、当院では積極的に使用しています。

③皮神経ブロック(2024年7月から)
細い血管を拡げるため「PTAは痛い」ものでした。このため狭窄部に局所麻酔をして拡張してきたのですが、狭窄が長区間にわたって存在することも多く、何か所も局所麻酔をしなければならないだけでなく、除痛効果も十分でないことが多く、大半の患者さんにとってシャントPTAは痛みを伴う治療でした。しかしエコーの画質が向上し、末梢神経を正確に同定できるようになり、運動神経には作用させず、前腕のシャントを支配する知覚神経だけをブロックしてシャントPTAを行うようにしています。痛みをかなり軽減できるようになっています。これまで局所麻酔しても痛みがあることが前提で「痛いけど頑張ってくださいね。」と言いながら治療していたのですが、治療範囲がブロックできる症例では「痛みがあれば言ってください。局所麻酔追加しますからね。」と言いながら治療するようになりました。拡張するときの患者さんへの声掛けが変わるくらい除痛効果が高い麻酔法です。

放射線科からのおしらせ
現在、お知らせはございません。